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1926年 大正15年 サンデー毎日 どちらがよいか  田舎の放任主義と都会の保護主義


1926年 大正15年 サンデー毎日   

「どちらがよいか! 田舎の放任主義と都会の保護主義」

2015年現在、約90年前の記事であります。

なんと、現在でも時々議論になる、「子育ては、田舎がいいか?都会がいいか?」を

医学博士が分析しております。

いくつかの周期があるにせよ、なんと、田舎か都会か!は普遍的な問題なのであります。

それでは、この記事を考察するのであります。

田舎のいいとこ。

親から放任されて、野を走り、泥を舐めたり、濁った水の中を遊泳する姿は、

河童そっくりであり、いかにも丈夫そうに見える。

都会のいいとこ。

衛生機関(病院)が身近に有り、手当てや治療が手早く行き届き、

田舎では、死亡しているような子供も、あたかも人工的に、ひ弱く青白い顔を

しながらも生きていくことが出来る。

田舎の悪いとこ。

「子は半作」。産んだ子供の半分が生き残ればいい。という昔からの言い伝えが、

今でも残り、兄弟全員が丈夫とは限らず、病院など

「私の子供は8人もあったのですが、大方死んで今ではたった3人しかいません」

だとか

都会の悪いとこ。

人口が多いので流行病が多く、事故などなどで田舎より死亡率が多少高い。

そして結果、作られるイメージとして

田舎は、ひ弱な子供は死んでしまい、存在は忘れられ、丈夫な子供のみ生き残り、

やがて丈夫で頑丈な大人になり

「田舎で育つと丈夫になる」

というイメージが着いてしまうのであります

逆に都会は、ひ弱な子供も死なずに生きるので

田舎に比べてひ弱な子供の割合が多くなり

「都会で育つとひ弱になる」

というイメージが着いてしまうのであります

この大正~昭和初期時代は、生まれた子供の10人中1人は、1年以内に死亡する

「多産多死」という聞きなれない言葉の時代なんですが

約90年後、2015年の少産少死・少子高齢化時代に変化しても

この田舎と都会のイメージは、なんか分かる感じがするのであります

(皆さんいかがでしょうか)

東京(ここでいう都会)は、江戸時代から明治維新後、人口がゆるやかに増え、

関東大震災後も増え、終戦で半減し、戦後・経済成長期にまた激増するのであります。

そして、都市に人口が集中する流れは現在でも続いております。

ということは、どんなに時が経過しても社会が変化しても

田舎と都会がある限り、この問題は、あり続けるのか?と

思うのであります。

そして、博士の結論は、

いなかは、

ひ弱な子は、死んでしまう。

とかいは、

青白いひ弱な子も、生きていける。

(丈夫な子供は、どちらでも生きていける。)

子育ては、田舎か都会か、どちらか

「その子の個質によって十分慎重に、考慮研究してみなければならん事と思われます」

そう、どちらが良いかは、一概にはいえないのであります。

田舎か都会か、というのはあくまでも外的要因、環境の問題で

あくまでも主になるのは、それぞれの内的要因で家族・仕事・子供の体質や生活スタイルの問題であるので

基本的に絶対的な答えはなく

ゆえに100年間、世代交代していく子育て世代、それぞれが議論しているのであります。

これが100年間続く、庶民の問題であり、これからも続く

答えの無い庶民の問題なのであります。

<時代考察参考雑誌>

1926年 大正15年 サンデー毎日

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